2013/12/17

蒼井そらさんが「売国奴」にされたことの真相

前回エントリで触れたおかしな報道の件、中国でも検証されていた。

劉彦偉さんは、中国版ツイッター『微博』で37万人以上のフォロワーをかかえる人気ライターだが、その劉さんが今回の一連の空騒ぎの一部始終について検証をしていた。

オレには中国語の繊細なニュアンスが分からないので、大ざっぱに要約するだけだが、その内容は以下のようなものだ。より正確な文面を知りたいひとは、劉彦偉さんの投稿本文をご覧ください。

今年2013年の8月8日、中国の軍事サイト『鉄血網』に、1人の一般ユーザーが書き込みをした。それが「五大売国的日本人」とされるものの正体で、蒼井そら、矢野浩二、井上清、宮崎駿、鳩山由紀夫が挙げられている。この書き込みは、たんに中国人が書いたというだけでなく、中国人の視点から書かれているのがポイントで、とくに矢野浩二にいたっては、日本人にはまったく知られていない人物だ。

この書き込みが、『新華網軍事』などのウェブサイトに転載されていくことになる。

3日後の11日、海外の中国語メディア『多維新聞網』の軍事カテゴリに、「五人の売国的日本人」が掲載された。これは明らかに前述の書き込みを元にしたものだが、同時に加筆も行われている。蒼井そらが釣魚島をめぐり中国の立場を支持した、というもので、蒼井が「釣魚島は中国のもの」と書いたとする写真を掲載している。

しかし実際は、この写真は中国のネットユーザーが加工したものであり、本来は「李娜さん、がんばれ」と書かれていたものである。蒼井が釣魚島問題で中国を支持したことはないし、とうぜん日本の右翼がボイコットすることなどありえないのである。

また矢野浩二は、中国ではたいへん有名であるが、日本ではまったくもって知られていない。日本の右翼がかれを攻撃することなど、ありえないのだ。

『多維新聞網』の記事が転載されるうちに、1人の日本人ブロガー宮崎正弘の目にとまることになった。宮崎は10月23日のブログ記事で『多維新聞網』軍事カテゴリの報道に拠るものとして、「中国で『英雄』視されている五人の日本人がいる」とし、その五人を列挙したうえで、「『この五人は日本の右翼に“売国奴”と非難されている』と報道した」としている。

それが宮崎正弘のブログ記事であることが知られないまま、最後には大げさに取り上げられるようになり、(『騰訊娯楽』に記事が掲載された)12月13日が到来したのである。

12月13日とは、なんの日だったか。これは南京事件のあった日なのである。この日の午前11時54分、矢野浩二が(中国版ツイッター)『微博』にこのように書いた。「今日は12月13日。われわれは亡くなった人々を追悼し、そして歴史に真正面から向きあわなければいけません。平和と友好こそが、ともに進歩していくための基本です」と。

午後3時34分、このサイト(『騰訊網』)の娯楽カテゴリに「矢野浩二が、ふたたび日本の右翼メディアによって五大売国奴に数え上げられる」とする記事が掲載された。この記事が多数のメディアに転載されていく元となった。この記事では、矢野浩二の午前のツイートが引用されている。

“苍井空被评卖国贼”的真相_腾讯网

以下は省略するが、非常に説得力のある検証だ。ぜひ投稿本文をご覧いただきたいと思う。


『多維新聞網』などが「売国」写真と伝えたもの。


蒼井そらさんが実際に書いたのは「李娜さん、がんばれ」というものだった。李娜さんは、中国の女子テニスプレイヤー。この応援メッセージについては、さまざまなメディアで報じられたので、Googleで検索すればいくつものバリエーションで見ることができる。

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