2014/10/12

エコーニュースがデマを流している

エコーニュースなるウェブ媒体が、チャットアプリLINE(LINE社は無料通話・メールアプリを謳っているが、実質はチャットアプリだろう)に関するデマを流している。名誉毀損ないしは業務妨害にもなりかねない。そこで、かれらの主張が間違っていることを指摘したところ、かれらは訂正するどころか、さらなる名誉毀損によって批判者の信用を毀損しようとこころみた。その一連の経緯を振りかえってみる。

最初に見かけたのが、このツイート。新聞業界でもよく見られるが、ユーザー数の水増しは広告主に対する詐欺行為といってもいい。とうぜん関心をもって記事を読んでみたところ、言いがかりもいいところであった。(以下引用の強調は筆者による)

LINEが今年4〜9月分のリリースで出していた資料によれば、日本国内ユーザー5000万人のうち59.2%が「毎日利用しているユーザー」のハズだった(約59%である)。

しかしながら、昨日の発表によるとこれまで世界中で5億と公称していたのはダウンロード回数に過ぎず「一ヶ月のうちに利用しているユーザーは1億7000万人に過ぎないとされる(約28%である)。

アクティブユーザーの比率に倍以上開きがあるがこれはどうしてだろう。まず今までLINEが主張してきた日本国内の利用者数は「日本で5000万人」だ。とすると、間違っても「ダウンロード回数」ではなくてユーザー人数のはずである。資料を普通にみれば、5000万人がユーザー(つまり5000万はダウンロード回数のことではない)としか読めない。すると、「日本人は59.2%が毎日利用するほどLINEが好きだが、他の国も合わせると一ヶ月のうちでもたった28%しか利用していない」ということになる。これは、よほど 国内外でLINEへのハマり方がちがっているのか、それとも発表がおかしいのかどちらがである。

そして何より問題なのはLINE社が、「4週間で2000万円から3000万円」のスポンサードスタンププランという広告を、ユーザー数が5億と媒体資料で銘打って販売していたことである。もし、ユーザー数に大きな齟齬があってこの高額な広告を売りつけていたら、それは詐欺だ(上記画像は2014年4〜9月媒体資料)。同社は、これまでのお客様のためにも実際のユーザー数を早くから公表するべきであったし、これからでも遅くないから発表出来る情報をクライアントに伝えて、実ユーザー数と相違した分に案分した広告費用を返還するべきである。

echo-news – LINE社 広告宣伝資料からユーザー数5億人の記述と、2000~3000万の広告プランを黙って削除 実質ユーザーを3分の1と認めると同時

かれらの主張は、「LINE株式会社はこれまで5億人のユーザがいると公称し、広告主向けの媒体資料にもそのように書かれていたが、昨日の発表によるとその5億なる数字はダウンロード回数にすぎない。つまり5億のうちほとんどは利用の実態のない水増しの数字である」というものである。

これが、とんでもないデタラメであった。

ここにいう昨日の発表とは、日経新聞のこの記事のことだが、ここで5億とは「登録ユーザー数」のこととされている。ダウンロード回数ではない。この時点ですでに、かれらの主張の前提が崩れている。

LINE登録ユーザー数、5.6億人突破 実際利用は1.7億人

2014/10/9 14:32

 無料対話アプリのLINE(東京・渋谷)は9日、事業戦略発表会「LINEカンファレンス」を開き、登録ユーザー数が世界で5億6000万人を突破したと発表した。この中には登録したものの、現在は利用していない人も含まれる。実際の利用状況を示す月間アクティブユーザー数(MAU)は1億7000万人と初めて公表した。

 競合アプリのMAUは米フェイスブック傘下の「ワッツアップ」が6億人、中国のネット大手、騰訊控股(テンセント)が手掛ける「微信(ウィーチャット)」が4億3800万人となっている。

LINE登録ユーザー数、5.6億人突破 実際利用は1.7億人  :日本経済新聞

では、LINE社の2014年4-9月期の媒体資料にはどう書かれているか。まず、いきなり2ページ目に「2014年は5億ユーザーへ」「2014年は5億人到達を目標としております」と書かれている。ダウンロード回数などとは書かれていない。登録ユーザ数とする日経記事とは、なんらの矛盾はない。エコーニュースの記者はかの日経記事を読んで、なにを発見したつもりになったのだろうか?

とはいえ、この「5億人」がダウンロード人数(回数ではなく)であって、登録ユーザ数やアクティブユーザ数を表すものでないとすれば、かなり広告主の誤解を招きやすいか、あるいは故意に誤解を誘おうとしていると疑ってみるのも合理的だといえる。この時点では。

では、媒体資料にはどのように書かれているか。国内利用者数を「5000万人+OVER」「日本の人口の39.1%」としている。そして、アクティブ率(毎日利用してるユーザー)を59.2%としている。どこに誤解の余地があるだろうか?LINEへの広告主は、国内ユーザが5000万人いて、そのうちアクティブユーザが約3000万人であることを、まったく誤解の余地もなく把握できるのである。

広告主が関心をもつのはアクティブユーザ数であり、LINE媒体資料ははっきりとアクティブユーザ数が約3000万人であると明言している。そして、この資料にいう国内ユーザ数というのも、日経記事にいう登録ユーザのことであることが分かる。

おそらくエコーニュース記者は、日経記事にいう登録ユーザー数をダウンロード回数と誤読したまま、5億の利用実績がないと早合点したに違いない。そこでオレがそのことを指摘したのだが。

「MAU中のDAUが59%になる」うんぬんは、たぶんオレの勘違い。

LINE媒体資料は「人」と書いているから日経記事との齟齬はない、という指摘をしたつもりなのだが意図が通じていないようだ。おそらく、この時点においても日経記事が「ダウンロード回数」と書いていると思いこんでいる。

そしてこの直後、エコーニュースは驚くべき行動に出たのである。

なんと、オレがNAVERまとめの利用者であることをもって、回答を拒否したのである。言うまでもないことだが、言わなければ分からない人間もいるのでわざわざ言っておくが、オレがNAVERまとめの利用者であるかどうかということと、かのエコーニュース記事が事実に反しているかどうかはまったく関係がない。かれらの誤った記事がひとりでに正しくなることなどありえないのである。

しかし、かれらの真の狙いはまた違ったところにあるのだろう。とどのつまり、あいつはLINE社と利害の一致する関係を有しているのだ、あいつはLINE社を守るためにウソ八百を言っているに違いないから耳を貸す必要はないのだと、かれらの追従者に信じさせ、自身の誤りをごまかしたいのだ。だから、わざわざ目を引くような画像をこしらえてまで追従者に見せつけるのである。

エコーニュースとは、いったい何ものであろうか?かれらのサイトによると、構成メンバーは以下のようである。(編集長の江藤貴紀氏は、「伊藤弘文」という別名を用いることもあるようである。)

編集長 江藤貴紀
1980年生まれ 東京都在住。好きなものはお酒(でも禁酒中)と古めの映画と旅行。それほど好きじゃないのは、そつの無いエリートと体罰教師。熊本県立済々黌高校中退、大検合格、東京大学法学部および東大法科大学院卒業。
石井鉱人
1982年生まれ ㈱カンゼン、Football weekly記者を経て、Japan.Journalを設立。サッカー、音楽、政治経済、エンタメ系のニュース原稿、インタビューを各媒体に配信し、多くのDVDをプロデュースしています。お酒と家族がなにより大好き。が、独身です・・・。
・小野寺由美
・粟野夏美
echo-news – ご挨拶

また、かれらのTwitterアカウントでは、次のように書かれている。

エコーニュースは、ノイズのすくないニュースサイトです。http://echo-news.net   完全独自報道で公開資料の読み込みと、日米の情報公開法を多用します。 最近の記事傾向はWikiLeaks、LINE問題、フランチャイズ、2ch関係、福島事故、世論操作、まとめブログ問題等が多くなっています。

エコーニュース (@echonewsjp) | Twitter

このTwitterアカウントの過去の投稿を見ればすぐに分かることだが、かれらは、なぜだかは知らないが、LINE株式会社に対して異様な敵意を持っているようである。

ところで、オレはこのエコーニュースを「デマ体質」を持った媒体だと考える。デマの発生源となり、あるいはまたデマの媒介者となる、デマゴーグの資質を十全に満たしているからだ。オレの考えるところでは、デマゴーグの資質とは以下のとおりである。

敵が存在する
客観的に見て、それが「敵」と呼びうるかどうかは別として、かれらの主観として憎むべき「敵」が存在する。あるいは憎んですらいないかもしれないが、少なくともそれは、身内では「敵」と見なされ、実際そのようにあつかわれる。
敵の主張を理解しない
かれらは「敵」と見なした相手の主張に耳を貸さないか、あるいはひどく誤解するか、あるいは極端に曲解する。その誤解や曲解はつねに敵対性が強まる方向にであって、和解の方向にはされない。ましてや自身の誤りを訂正する方向には、決して読みとらない。
敵の陰謀を疑う
かれらは「敵」がただならぬ野心を持ち、陰謀をめぐらせていると信じている。「敵」の言動からは、つねに悪意を見いだそうとする。とうぜん偶然の結果などは信じず、かならず背後に「敵」の計算があるはずだと疑ってかかる。
批判者はスパイである
かれらは自身の誤りを指摘する批判者がいれば、それを「敵」のスパイと考える。もちろん、批判者が身内の者であっても、「敵」の回し者である。その結果、身内からは価値観の多様性が排除され、極度に画一化、純粋化する。

これは、オレの考えるカルトの特徴ともほぼ完全に一致する。というよりは、デマゴーグのウソに付きあう人々が集まってカルト集団を形成するのだ、と考えたほうが分かりやすいだろう。