2015/05/30

オレのツイートがインド人のあいだでバズりまくってんだが…

舞田敏彦さんに関する、オレの下記ツイートがやたらとリツイート(RT)されまくっていた。

最大時は580人にRTされていたが、ほとんどがインド人のアカウントのようだった。いまは何人かがアカウントを削除されたらしく、570人と表示されている。かれらのツイート内容は「Facebookのフォロワーを売ります」などといった宣伝RTが多く、おそらくスパム業者に「1RTにつき○○ルピー」といった条件で指示されてツイートしているのだろう。アカウントを削除されたものがいるのは、それが利用規約に引っかかったためと思われる。

ところで、なぜ、オレのあのツイートがかれらにRTされたのだろう。スパム業者に頼んでまでRTさせる理由のあるツイートには見えないのだが…。

これをRTしたアカウントの一覧はここにある。RTした580アカウントのうち、最初の2つアカウントは一般の利用者である。残りの578アカウントの全てを捕捉することはできなかったが、favstar.fmから410アカウントを拾うことができた。太字のアカウントは、Twitter公式ページから拾いあげたものだ。

関連記事「博士課程修了者の多くが行方不明・死亡したと称するデマについて」を書きました。(2013年11月09日)

関連記事「株式会社はてなから情報開示請求を知らせるメールが来ました」を書きました。(2015年1月24日)

関連記事「舞田敏彦さんからDMCA違反の申し立てがありました」を書きました。(2016年9月29日)

2015/05/02

「乗客に日本人はいませんでした」は国際電話をパンクさせないため…とする説について

航空機事故などがあったとき、ニュースで「乗客に日本人はいませんでした」とアナウンスされるのは国際電話をパンクさせないためだ…とする説があります。管見のかぎり、この説の初出は以下の2011年1月25日のツイートです。Googleで検索したところ、これより古いものは見あたらず*1、この日以降、Twitterやブログなどで一気に流布したようです。

この説を紹介するブログは、「本当の意味はこうだったんだよ」といった語り口を用いることが多いのですが、ブログの筆者がなぜそれを「本当の意味」だと思ったのか、その根拠が書かれないことも共通しています。これはTwitterへのポストも同様です。なにか根拠らしきものを提示することもなく、とつぜん「本当の意味はこうだったんだよ」で始まり、そのまま終わります。

デマによく見られる特徴です。

オレは、こうした説が事実なのかどうか判断するすべを持ちませんが、不自然に感じられる点はいくつでも挙げられます。

なるほど、安否確認の電話が殺到して回線がパンクする…といったことは、いかにもありえそうな話に感じます。しかし、もしこの主張が正しいとするなら、日本人に死傷者が出ているときにも同様のアナウンスをするはずです。死傷者が出ていると分かったときのほうが、そうでないときよりも、確認電話がもっと増えそうですが、だからといって「国際電話がパンクするので安否確認の電話を控えてください」といったアナウンスはされません。少なくとも、オレは見たことがありません。

あるいは、本当に死傷者が出ていても、表向きは「乗客に日本人はいませんでした」または「確認を急いでいます」とアナウンスしつつ、官邸や外務省などから家族に直接連絡をしてもよさそうです。しかし実際は、日本人に死傷者があったときも、その事実をそのまま報道しています。国際電話のパンクを心配しなくてよいのでしょうか?

1995年の阪神淡路大震災のとき、安否確認の電話が殺到したため被災者が救助を呼べなかったという話がありました。また、2011年の東日本大震災でも一般の携帯電話網が繋がりにくかったのに対し、Twitterの送受信には問題がなかったのでTwitterの利用者が急増したといいます。前世紀ならともかく、いまはTwitterやFacebookをはじめとするSNS、SkypeやLINEなどがあり、国際電話の占める重要性は小さくなっています。国際電話って、そこまでパンクしやすいものなのでしょうか。

もし航空機事故があり国際電話が繋がりにくくなるのなら、国際電話を扱う各社がなんらかのアナウンスを出しているはずです。しかし各社のウェブサイトを見ても、そうした形跡は見あたりません。

NTTコミュニケーションズ
2015年のお知らせ トランスアジア航空ジャーマンウィングス等の航空事故に関連する記述はなし。
2014年のお知らせ マレーシア航空機の行方不明事件や、ウクライナ上空での撃墜事件に関する記述なし。
「乗客」の検索結果 検索結果ゼロ。
「日本人」の検索結果 観光情報のみ。
「飛行機」の検索結果 観光情報のみ。
「航空」の検索結果 各国の都市に就航している航空会社の一覧のみ。
「事故」の検索結果 クレジットカードの補償に関する記述と、パソコンのデータバックアップに関する記述のみ。
「災害」の検索結果 災害用伝言ダイヤルに関する記述や、災害に強いサービスの案内など。
「紛争」の検索結果 緊急地震速報サービスの譲渡申請書に記載される免責事項。
KDDI
インフォメーション一覧 サービス改定や機器メンテナンスに関する記述が中心。航空機事故に関する記述なし。
「乗客」の検索結果 検索結果ゼロ。
「日本人」の検索結果 海外旅行の経験談のみ。
「飛行機」の検索結果 海外旅行の経験談のみ。
「航空」の検索結果 海外旅行の経験談のみ。
「事故」の検索結果 海外旅行(に送り出した家族)の経験談のみ。
「災害」の検索結果 検索結果ゼロ。
「紛争」の検索結果 検索結果ゼロ。
ソフトバンクモバイル(旧日本テレコム)
プレスリリース サービス展開や企業情報、災害救援金の募集など。航空機事故に関する記述なし。
お知らせ 販促キャンペーン、テレビCMに関する記述など。航空機事故に関する記述なし。
「乗客」の検索結果 デジタルサイネージに関するプレスリリースのみ。
「日本人」の検索結果 教育サービスの日本文化論、IR情報、海外スポーツで活躍する日本人選手に関する記述など。
「飛行機」の検索結果 検索結果ゼロ。
「航空」の検索結果 航空機内で携帯電話が使えるサービス、空港ラウンジの紹介など。航空機事故に関する記述なし。
「事故」の検索結果 通信設備の事故、利用者の転倒・接触事故、緊急速報メールサービスの免責事項、福島の原発事故など。
「災害」の検索結果 災害用伝言板サービスなどの紹介、ネットワークの災害耐性、災害に強い衛星電話の紹介など。1746件のヒットがあり、全ては確認できないが、上位100件のなかには、国外での事故発生時に国際電話を控えるようにアナウンスするものは見あたらなかった。
「紛争」の検索結果 電気通信事業紛争処理委員会や、個人情報規定やソフトウェアの利用規約の改定、IR情報など。

国際電話を専門的に扱う各事業者からアナウンスが出ていないのに、報道だけが国際電話のパンクを心配してアナウンスを出すということが、ありうるのでしょうか?

オレ自身は、こうした説にはいかにも説得力があり、実際にそうなのだろうな、という印象を感じています。しかしその一方、それを裏づける情報がなに一つ見つからないことに、非常に大きな危険を覚えています。この説の根拠をご存じの方には、ぜひともご紹介いただきたいものだと思っています。

*1:1993年からこうしたアナウンスが行われているとする記事はありますが、この記事が書かれ公表された時期は不明です。更新日付は2012年9月。