2013/06/23

【デマ続報】「もったいない」か「役得」か、余った「給食」を食べていた保育所調理員たちの行為は“悪”なのか

産経新聞(大阪本社版)で以下のような報道がありました。

兵庫県の西宮市で、公立保育所の余った給食を調理員らが食べていたので、市議が問題提起した、というものです。この報道を受けて、さまざまなサイトやブログで取りあげられました。代表的なものを以下に挙げます。

西宮市の公立保育所において調理員らが給食を食べている、という問題については、昨年12月にも共同通信が取りあげて話題になったことがあります。この共同報道にしても、今回の産経報道にしても「余った給食を破棄するのはもったいないのではないか」、いわば「もったいない論争」が提起されているような書きかたです。

前回報道のときは、「こんなくだらないことを取りあげた市議がいる」といった糾弾や侮蔑のニュアンスを伴う、なかば中傷ともいえるような反応が市議や市役所に寄せられました。

しかし、この問題を提起した西宮市議・澁谷祐介さんは、そういう視点だけから取りあげているわけではありません。

澁谷市議が指摘しているのは、「一部の正規調理員に職務怠慢があり、仕事を保育士や臨時調理員などに押しつけ、子どもの養育を軽視しており、保育所長らもそれを知りながら是正しようとしない、これは組織的な問題なのではないか」ということです。

今回報道でも触れられている「内部告発」については、すでに澁谷市議のブログにて紹介されていますし、当ブログでも書き起こしをしたことがありました。

当ブログで書き起こした告発のうち、代表的なものをいくつかご紹介しておきます。

保育所の給食は塩分摂取量がきまっているはず。それをもとに管理栄養士が計算して献立を決めているのに、醤油・油、塩などの調味料は大目に入れていた。献立どおりするとまずいから、自分の舌で調整しながら作るように指導された。これはどうなのか??毎回私が作る分には味が薄いと濃くするように命じられた。完璧な数字で調理はできないが、保育所は薄味調理でないといけないと思っていました。職員の好みで、ましてや自分たちが食べるために濃い目の味付けはおかしいです。

■■■■さんに発注していたかつおだしはかなり高級で驚きでした。昆布だしも高級でした。それを週に2袋使っていました。金額は不確かですが、保育所給食に必要なのでしょうか?使い方も豪快で、まさしく税金の無駄遣い!給食費の無駄遣いに感じました。

15時から16時は事務処理を理由に休憩室に入っておやつを食べながらくつろいでいました。事務処理のないプールさんや嘱託Bは横になって寝ていることもありました。私と職員は簡単な事務処理なのですぐに終わり、16時までゆっくりすることが多かったです。とにかく休憩は多かったです。16時からおやつの片づけをし、16時半には必ず休憩室に入り、45分を待ちながら着替えていました。明らかに保育士も所長もわかっていたと思います。

所長に職員の仕事ぶりに理解できないと相談しに行った時、私に「所長会でも、調理員の悪態や、組合が強いことで、所長達も困っていることが、実際に問題点として上がっている。」ともらしていた。この時、明らかに保育所運営上、調理員が協力しないことなど、以前から所長自身、把握していたことが分かった。

土曜日は私が配属されてからずっと2人勤務でした。実際に園児は多くて30人弱程しか登園しておらず、ずっと1人でも十分に仕事が出来ていたのにも関わらず、大変だということを所長にアピールし、2人勤務を了承させていた。全くの人件費のムダ使いだと思っていました。

長年勤務していたプールさん、嘱託さんが、嘱託Aは職員が楽するために導入された制度やと言っていた。これだけ仕事をしない職員を手助けするAは必要なのか、疑問に思った。

現業職の組合はこれほど劣悪な職場環境をつくっていた職員の実態を把握していたのか。その上でまだ雇用を守るのか!?

デマ?西宮市の公立保育所「調理員が給食を食べていた」事件について告発文を書き起こし - こりゃ、ほたえな

ここで引用したものはごく一部でしかありませんが、これだけでも、たんなる「もったいない論争」ではないことがお分かりいただけるのではないでしょうか。

総合すると、「正規職員と、その他の嘱託職員などの待遇に格差があり、正規職員は自分たちが働きたくないので嘱託職員らに仕事を押しつけ、給食を作るときも自分好みの味つけや分量に変え、自分が食べたい分だけ先に取るので子どもたちに行きわたらないことがある」というものです。

今回の産経報道について、澁谷市議は「今回の記事は、とても丁寧」「これまでもいうべきことは適宜ブログに書いてきたので、特にコメントはありません」としていますが、「役得」という視点が持ちこまれたとはいえ、上記の論点がていねいに掘りさげられたものでないことに変わりはありません。

決して、たんなる「もったいない論争」ではないですので、ご注意ください。

2013/06/18

患者の自己決定権と化学物質過敏症

あとで書くのを忘れそうなので、とりあえず場所だけ作っておく。すでに先行してhokke_ookamiさんが交通整理をされている。

ことの発端

NATROM氏の主張『化学物質過敏症は臨床環境医によってつくられた「医原病」だと思う』への批判 - Togetter

ここでのやり取りについて、オレが以下のように感想を書いたところ、NATROMさんからその根拠を求められた。

なんの話をしたいのか

医療における、患者の自己決定権。

なんの話ではないか

化学物質過敏症とはなにか
そういう話はしていません。
化学物質過敏症の原因物質はなにか
そういう話はしていません。
化学物質過敏症を有意に検出する方法
そういう話はしていません。
化学物質過敏症は心因性であるか
そういう話はしていません。
化学物質過敏症は医原病であるか
そういう話はしていません。
化学物質過敏症の存在を科学的に実証できるか
そういう話はしていません。
患者の自己診断は正しいか
そういう話はしていません。
医療者は患者の自己診断を採用すべきか
そういう話はしていません。
医療者はどう診断をくだすのが正しいか
そういう話はしていません。
NATROM先生は何を語ろうとしていたのか
そういう話はしていません。
心因性とは「気のせい」という意味では…
そういう話はしていません。
ホメオパシー…
そういう話はしていません。
ニセ科g…
そういう話はしていません。
リテr…
そういう話はしていません。

たとえばの話、化学物質過敏症の大半の原因が心因性ではなく化学物質であり、ごくまれに心因性が疑われ、そのうえ患者はこの症状の原因を心因性であろうと疑っているにもかかわらず、臨床医がこれまでの統計上から化学物質が原因なのだろうと推測した場合においても(つまり現在に考えられているのとは正反対のケースであっても)、オレの議論はまったく影響をうけない。オレが問題としているのは、化学物質過敏症をどう考えるか、ということではまったくない。

祖母の話

オレの祖母は80歳を過ぎて、かなり痴呆症が進んでいる。身体障害があり、要介護と認定されている。週に何回か、介護サービス(デイ)を受けているが、家族が車いすに乗せて送りだすだけで、本人がみずからの意志でデイに行こうと決定しているのではない。

ある朝、祖母は大きな声で訴えた。「デイには行かないからね!」体が弱っていて、ふだんはそんなに大きな声を出せない。ふつうにしゃべるのも困難なくらいなのに、この日はとなりの部屋にも聞こえるような、大きな声だった。

「なに言ってんのよ!デイの人、施設で待ってるでしょ!」と、彼女の娘がどなりつけた。母親をデイにあずけている時間だけが、1週間のなかで休息をとれる貴重な時間なのだ。この日も外出の予定を入れていた。

祖母は反論した。「あんたは、わたしがどんな辱めを受けても平気なのかえ!」

なにを言っているんだろう、意味がわからない。

「わたしがデイにいるとき、どんな思いをしているのか。あんた、分かってるのか!わかい男どもが数人がかりで、わたしの服をぬがして、体中をじろじろと見て、にやにや笑ったりしてるの!自分の母親がそんな恥ずかしい、つらい思いをしてるのに、娘のあんたは平気なのかえ!平気な顔して、あんなところへ送りとばすのかえ!」

娘は呆れて、「なにをバカなこと言う…。そんなことが…」

「あんたは知らんからそんなことが言えるのよ!じゃあ、ウソだと思うなら、あんたが行って見てきたらいい!わたしは行かない!」

ありえない。

介護施設の男性スタッフが、入浴の支援をすることはあるかもしれないし、それを祖母が恥ずかしく思うことはあるかもしれない。しかし、どこの世界に90歳にもなろうとしている老人の裸体を見て、それをうれしそうに眺めたり、喜んだりする男がいるというのか。そんな物好きなスタッフが、しかも複数もいるとはとうてい考えられない。じっさいに現場を見たわけではないにしても、99.99%、そのようなバカげた事実は存在しないとオレは確信できる。

ここで、祖母の娘(オレの叔母にあたるが)は、ひじょうに正しい発言をした。

「そんなことがあるわけないでしょ!なにをバカなこと言ってるの!お母ちゃんの裸を見て、喜ぶような男の人がいるわけない!そんなことは子どもが考えても分かる!ほらっ、デイの迎えがきた!」

けっきょく母娘は折りあうことのないまま、迎えの時間が来てしまった。

介護施設のわかわかしい男性スタッフ(たしか氷川きよしさんに似ていた)が、さわやかな笑顔で車から下りてきて「おはようございまーす!」と祖母に声をかけた。祖母はだまってふるえていた。

祖母は立つことはおろか、自力で寝返りをうつこともできない。男性スタッフはやや困惑の表情を浮かべていたように思うが、叔母が申しわけなさそうに合図を送ると、祖母をかかえて専用の車いすに移し、迎えの車まで押していった。

祖母は最後の気力をふりしぼるように、「いやだー!たすけてー!」と叫び声(ただし聞こえないほどの小さくかすれた声で)をあげながら、迎えの車に乗せられ、施設へ連れられていった。

オレは思った。これはレイプだ。

なにをすべきだったのか

オレや叔母、介護スタッフはなにをすべきだったのか。その答えは分からない。おそらく、これぞといった唯一の正解はないのだろう。

しかし、祖母がなにを訴えようとしていたのか、これについては必要充分な推測が可能だ。

彼女は、その原因がなんであるかは分からないが、デイサービスを受けることに対し、不安や恐怖を抱いているということだ。そして、それを無理強いする家族に対する失望と怒りを感じている。これは疑いようのない明らかな真実である。

介護施設の男性スタッフが数人がかりで彼女の服を脱がし、裸体を好奇の目で見る、という事実は99.99%存在しないだろう。しかし、そうされるのとほぼ同等の恥辱を受けるのではないかと恐れているのは、きわめて確かだ。

他のなんぴとが否定しようとも、彼女がそのように予感し、不安と恐怖、失望と怒りを抱いていることは動かしようのない真実であって、たとい家族であっても、いかなる事実があろうとも、それを否定することは不可能である。

にもかかわらず、叔母がやったことはどうだろうか。「そんなことがあるわけがない」と、冷たい事実を突きつけただけである。たしかに、それは事実なのだろう。しかし、それが恐怖におののく祖母にとって、どれほどの意味があっただろうか。どれほどの救いになったと言えるだろうか。

なぜオレたち家族は、祖母のかかえる真実をなかったことにして、介護サービスを強行したのだろうか。いやがって泣きさけぶ祖母を無理やり車に乗せ、施設に送りだした行為の正当性は、どこにあるのか。

少なくとも言えることは、祖母が自分の意志に反して施設へ移動させられたこと、それを正当化する口実に家族が「事実」を持ちだしたことだ。そのことは、介護スタッフを女性に替えて「事実」を強化したところで、まったく解決にはならない。

よくあるコピペ

彼女『車のエンジンがかからないの…』

俺『バッテリーかな?ライトは点く?』

彼女『昨日はちゃんと動いたんだけど…』

俺『バッテリーかどうか知りたいんだけどライトは点く?』

彼女『今日は○○まで行かなきゃならないから車を使えないと…』

俺『んでライトは点く?』

彼女『あたしはエンジンがかからないって言ってるのになんで急にバッテリーの話をするの?』

俺『エンジンがかからないのはバッテリーが…』

彼女『人の話聞いてる?バッテリーじゃなくてエンジンがかからないって言ってるの!馬鹿じゃないの?』

俺『…エンジンがかからなくて困ってるんだよねえ?』

彼女『わかってんならちゃんと人の話聞け!』

俺『…(´・ω・`)ヒドス』

フェミホイホイ -男女関係コピペ保管所-:彼女『車のエンジンがかからないの…』 - livedoor Blog(ブログ)

この笑い話はよく知られている。ここで転載したものは比較的に古いものだが、より新しいバリエーションではさらに会話の内容が詳細になっている。

この笑い話は、なにを笑っているのだろうか。

女性の思考能力の欠如、である。

一般的にはそのように考えられている。実際、この引用元のブログは副題に「狂ったフェミニズムは死ね」などとあるように、フェミニズムを呪い、女性を笑う、というスタンスで作られている。

では、この笑い話からえられる、真の教訓とはなんだろうか。

知識を自負するものは真実を見落とす、である。

この女性は、(病院なのかショッピングモールなのかは分からないが)外出しようとして車のエンジンがかからないことに気づき、男性に電話をする。そして「エンジンがかからない」と告げた。

男性は「女性はエンジントラブルの原因を知る方法も、それを直す方法も知らないのだろう」と思い、電話越しにさまざまなアドバイスをして、エンジンを直させようとしている。

バカな男だ。

この女性が、真に訴えていることはおそらく、「迎えに来てくれ」だ。

男性がなにをすべきだったかは明らかだ。女性は急いでいる。いますぐ車に飛びのって彼女の家へ行き、彼女を乗せて目的地に送ることだ。

なのに、おろかで滑稽なこの男性には、女性の言外の訴えが理解できず、なんとエンジン修理を自慢げにレクチャーするなどという恥ずべき暴挙に出たのだ!

そして、うんざりした風を装いながら、「やれやれ、これだから女は…。あいつらには論理的思考ができないんだ」と、したり顔で笑ってみせるのである。

この男性は、なぜ、この間違いを犯すはめになったのだろうか。

おそらく、自分のほうが車のことに詳しく、エンジントラブルを適切に処理できると自負していたため、自分の得意分野でこのトラブルを解決しようとした。そのために、このとんでもない失態をしでかしたのだ。エンジン修理に自信を持たない者なら、おなじ過ちは犯さなかっただろうことは疑いない。

真の化学物質過敏症

冒頭のToggeterを振りかえってみよう。

といっても、6月26日時点で運営者によって非表示にされているので、仕方ない。かれの発言をTwilog.orgでさかのぼることにする。今回の論争もどきは、6月8日に葵東さんへの説明として始まっているようだ。

かれは、化学物質過敏症とされる症状の「大半」は心因性であり、それ以外でも、化学物質でない要因で引きおこされている、と主張している。そうだよね?

そして、かれは化学物質を原因とする「真の」化学物質過敏症がありえないとは言えない、とも表明している。これも、間違いないよね?

ここで、かれの発言を引いてみよう。

なるほど。超微量のホルムアルデヒドに反応するなら、(まったく同じ条件下で)自然の木材を燃やしたときにも反応するはずだ、なぜなら木材には微量のホルムアルデヒドが含まれるのだから、という主張は分かりやすい。

ここでNATROMさんは、「真の」化学物質過敏症の反証をしているわけではない。そんな病態、そんな患者はありえないのだとは言っていない。

ところが、翌日のツイートではいきなりおかしな話になってくる。

なんだろう、これは?

NATROM先生は、「真の」過敏症を否定していなかったはずだ。にもかかわらず、ここでは「わからない」として理解を拒絶している。そのうえ「一緒にされたくないでしょ?」と、ほかの患者を抱きこんで過敏症患者から距離を取らせようとしている。

「3m先の野菜の残留農薬に反応する」患者がいたって、いいんじゃない?

「真の」化学物質過敏症の存在を否定していないのならば。

かれの本性が、次第にあらわにされていくようだ。

微量の化学物質が原因となり過敏症が引きおこされると考える医師を臨床環境医というようだが(オレは医学的なことは分からないので内容には立ちいらない。ここでは、そういうことにしておく)、かれは「臨床環境医の連中」を均しなみに「根拠なく諸症状を微量の化学物質のせいにする」との認識をしめしている。

ここで振りかえってほしいが、かれは「真の」化学物質過敏症の存在を否定していない。

オレは考えた。では、だれが化学物質過敏症と診断するのか、と。

「悪魔の証明」に関するよくある誤解

すこし脇道にそれるが、「yunishioが“悪魔の証明”を求めている!」と勘違いしている人がちらほら見えるので、釘を刺しておくことにしよう。

「悪魔の証明」――。もとはローマ法における土地所有権の問題に始まる言葉だということだが、この言葉はよく誤った文脈で用いられている。

たとえば、1937年末から翌年にかけて日本軍が中国軍民を虐殺するなどした歴史的事件「南京事件」について、その事件の存在をしめす史料は膨大にあり、事件の実在を疑うことは不可能であるところ、「南京事件は存在しない」と考えたい論者がしばしばこの言葉を口にする。かれが一体、どういう理路をもってその言葉を持ちだしたのか、まったくわけが分からないだろう?普通の人間ならば、みんな理解できなくて当たり前だ。

かれは実のところ、こう考えている。「南京事件は存在しない」→「不在を証明することはできない(悪魔の証明)」→「だから不在を証明する責任はない」「証明を抜きにして不在を主張できる」、と。

言うまでもないが(しかしあえて繰りかえすが)、南京事件の存在をしめす史料は膨大にあり、事件の実在を疑うことはもはや不可能である。もし、南京事件が存在しないのだとすれば、これらの史料が存在し、これらの史料が示唆する事実はなんだというのか?

かれは、南京事件の不在を主張するならば、まずこれらの史料群から導きだされる事件実在の証明を崩さなければならない。

よく誤解されているのだが、「悪魔の証明」という言葉が伝える教訓は、「不在を証明することはできない(あるいは困難である)」ということではない。ましてや「挙証責任を果たすことなく不在を主張できる」という言い訳でもない

科学は、実在の証明を崩すこと(反証)しかできない

「悪魔の証明」という言葉が伝える真の教訓は、反証を抜きにして「不在を主張してはならない」である。

あとで、ここに書きたしていきます。

結論めいたこと

※ ただし結論ではない。この記事が主題としているのは、患者の自己決定権についてであり、すなわち以下は余談である。

ニセ科学は、その名のとおり科学の装いをまとう。

ときには、ニセ科学を批判するつもりで、つまり当人は科学に立脚しているつもりで、じつはニセ科学に足をからめとられていることがあるかもしれない。

ニセ科学であるかいなかは、個別の論点に対する賛否によって決まるのではない。科学とは「考えかた」の問題であるから、考えかたが間違っていれば、たとい結論が合っていても、それは科学とは言えない。

たとえば――。

「太陽は東から昇る」という説明は正しい。「太陽が地球の周りを回るのではなく、地球が太陽の周りを回る」という説明も正しい。しかしその2つを同時に主張することはできない。なぜなら、「太陽は東から昇る」とするのは、天動説とおなじ視点に立った説明であり、地動説の立場では、太陽は東から「昇らない」はずだからだ。矛盾している。

にもかかわらず、多くのひとがこの説明を科学的だと感じるのは、なぜか?

たんなる思いこみである。教科書にそう書いてあったから、それが科学的に正しいのだろう、と信じているだけで、みずからの理性をもって証明を立てたものではない。科学的な権威者の言うことだから、と鵜呑みにする態度こそ「非科学的」とは言えないだろうか。

2013/06/17

削除されていた川越シェフのレストランの食べログレビュー

6月15日に追記されているレビューが、17日には削除されている。レビュワー登録が削除されたわけではないが、このレビューだけが削除された理由はよく分からない。*1

*長いですので、そこんとこすいません*

「川越達也の店行きたい」

そんなことを急に姉が叫びだしたので、速攻そういう役目(我が家の予約係)のあたしが電話をしました”Tatsuya Kawagoe”

電話をしたのはそうですね、あれは5月だったと思われます。
そして行ったのは9月....
4ヶ月待ち....

否が応でも期待するだろ、それなりに。そこ人の心理です。

そもそも姉が行きたいと言った理由。簡単。
”川越達也に会いたいから”ないし”川越達也の顔が好き”
そうとってもミーハー...爆

行くのを承知したあたしの理由。
”あんだけ批評しているんだからさぞかし素晴らしいものを作るんでしょうね”
そうかなり既に屈折した心構え(笑)

行きました。
場所は代官山と渋谷の間くらいですかね。
路面ではなく、2F。しかも結構店内狭い。どう考えても所場代はそんな高くないはず。

前置きより何よりまず料理の方行きましょうか。

店内はそうね、安い作りが目立たないような今時モダンなシンプルな作りです。

ディナーコースは選択肢2こから選びます。
選択肢、2こね。アラカルトなし。
というか、メインパスタってナンデスカ?五右衛門ですか?...
なので結局フルコースらしい7700円(サービス10%別途)を選びました。

最初に用意されるポッキー...いえ、グリッシーニです...笑

バーニャカウダはバター勝ち過ぎです...
これにグリッシーニをつけるとプリッツです....爆

野菜スティック。彩りはいいです。スナップ豌豆は美味しかった。
って料理でも何でもないけど....

パンは二種類。
クルミと...なんだっけ?
あんまり違いがわからない上に、両方赤飯の味がする...ある意味凄い...

*厚岸産 秋刀魚のカルパッチョ、大根とオクラのサラダ*
秋刀魚の温度がぬる過ぎて、生臭さがちょっと...

*岩中豚フィレ肉のカツレツとインゲン豆、バジリコ風味のタルタルソース*
これ前菜ですかね?響きはメインです。でも、ポーション完全に前菜。
というか、イタリアンでタルタルって....フレンチですね、タルタルは....
いや、普通の味なんだけど、そう、普通....

*北海島エビと銀杏、ルッコラのリゾット*
熱くて火傷するかと思ったよ...爆
銀杏の存在感ゼロでした...何故入れた....

*白イカと焼茄子の冷製フェデリーニ、タプナード添え*
これは普通に普通に美味しいかな。しかし、一口で終わってしまう量。残念...

*イトヨリのソテーと暖かいきのこのサラダ仕立て 黒トリュフドレッシング*
個人的にトリュフの匂いに鈍感なので、別にトリュフが多くても嬉しくない。
それより魚の大きさ増して欲しい...
味はね....可もなく不可もなく、印象もなく....笑

*軽く炙ったハモと満願寺唐辛子のベベッティーネ 花穂風味*
これが最悪だった...「オリーブベースのパスタです」と言われましたが、
完全に舌に残るはシソとバターの香り...
これ和食だよ....

*シャラン産 鴨むね肉のロースト、いちじくのソース*
いちじく→冷たい、鴨→ぬるい
このコンビネーションが最悪。

デザートは何故か女性の喜びそうな感じで選択肢が多い。
しかし、チョコわらびもちってなんだよ...

姉の頼んだチーズケーキ。
チョコソースがコンビニ市販のチョコかって位まずい。

選択肢に好きなものがなかったので(というかイタリアンならティラミスは置いておけ)仕方なく頼んだチョコレートケーキ。
うん、まずい。これね、コンビニのスイーツの方がよほどまし。

茶菓子として(もう和食感覚笑)プチシュークリーム。
とても湿気っていた(笑)

ハーブティー。
一口で無理でした。

そうですね、はっきり言いまして、この店のウリは、運が良ければ川越に会える。
それだけ。誰しもそれを若干期待して行く。

そもそも前提が気に食わなかった。
彼は有名。でも、お店が有名かと言われれば、そうではない。
そこが落合との違い。
立地の中途半端で決して一流ではない。
でも、この店、キャンセルすると3000円か5000円(だった気がする)キャンセル料が発生する。

ありえね~。

なんの自慢でもないが、
ロブション(タイユバンもジョエルも)、ロオジエ、クレッシェント、ピンキオーリ、マキシム、サバティーニ、平松、ポールボキューズ、アランデュカス....etc
色々行ってるけど、そんな店初めてだ...
しかも、前日に出欠確認の電話が来る。
ここまで念を押されると、親切ではなく、逆に失礼です。

料理に関しては、イタリアンではなく、完全に和食。
明らかにバターが強い上に、厨房から一切ニンニクの香りしない....
ニンニクを使わないのがウリなのはカノビアーノくらいで十分です。

あとね、料理って温度大事。
これ一番大事。
素材を生かすも殺すも温度。
食べている時のこの温度の違和感が最後のお皿まで続いたのが最悪だった。

メニューに関して、アラカルトがないのがいや。
コースから、選ぶ。
そう大体皆同じ食事を食べるってことよ。
...給食かい!

しかも、明らかに手間を省く為か、隣と同じタイミングでサーブされたのが気に食わなかった。

予約をきっちり固めるのも、コースが二種類だけなのも、
結局ディナーは一巡でそれを確実にしたいってのが見え過ぎている。
つまり破棄を出したくない訳。
皆そうだよ、飲食なんて。でも、客の楽しみは料理を決める事から始まるんだよ。

しかも、食後はハーブティー...何が入っているかも謎なハーブティー...
あたしハーブティーとても苦手...
でも、メニューにオリジナルティーってあったから出てくるまでこんなまずいものと知らなかった...
だったらお抹茶のがましだった....

イケメンですからね、一般的に言えば、川越。
彼の外見からいえば納得ですが、
そうですね、店員の服装がホスト。
そしてロンゲ多し...厨房までロンゲ。
ホールは金髪....爆
で、サーブの担当が全皿変わる...全く特別感なし。清潔感もなし。
....ここはレストランじゃろ....

しかも最初3皿一切フォーク等は変えずた使い回し...
サービス料って....ナンデスカ?爆

何より一番ひいたのが会計。
コースは7700円、サービス10%足して、8470円。
これでもね、これだけ出せば銀座で結構イケテルお店で食べれる。
で、ここ。ドリンクメニューがない...(ワインリストはあるらしい)
最初にビールを頼みました。
生を切望していたのに、出てきたら瓶だし....じゃ、最初に言えよってなる。
その瓶ビール800円...
でワインリストはあるものの、ハーフボトルも、グラスワインのメニューもない。

考えてください。
どんな高いレストランに行こうと、安い所に行こうと、
皆予算があるんだよ。
時には5万かもしれない、時には3000円かもしれない。
それを自分の財布と相談しながらある程度選ぶんだよ。
でも、メニューがないってことは、それが出来ないって事。
毎回「カクテルはいくらですか」とか、聞けるか?大の大人が。
答え)聞けない
それを逆手に取って、ここのグラスワイン、カクテルは1杯1200円する。(領収書より)
この値段は、ミシュランで星とってる所の出す値段だよ。
たかがこの程度の料理で出していい値段じゃない。
上記に上げた一流店で、大体ビール、シャンパンが800円~1500円
この設定...ありえねぇ~....

しかも、最後にあたしキレました。
お水をサーブされたんです。
姉もあたしも基本食事屋さんで水は頼まない。
あたしはアルコール入ったらアルコールで通す。
チェーサー?チェーサーはビールだよ!
この水があたしの怒りを買った。

大体一流店はまず、聞くんです。
「ガス入りに致しますか?」これが加算の合図。
何も聞かずにいれる所はサービス料に入っている。
選択肢を与えられたらそれはオーダーになる。

この店、何も聞かず、入れたよ、水を。
そしてお会計で気付いた。
水800円也....

ぶち切れました。

いいんです、別に有料の水でもいいんです。あたしが必要で頼んだなら。
何も聞かず、勝手に入れて、結果二人呑まずに、
で、800円かい?

やってはダメでしょ、それは...

ダメだよ。若干違法だし。

払いましたよ、払いました。
でも、キレました。笑

飲食で廃棄出すのが一番損になる。
なので大体30%が原価の材料費で、それを100%でサーブする。
でも、野菜だのの廃棄はでる。
一番飲食で利益を出せるもの、それが飲み物。
それのね、値段を隠す事がまずあり得ない。

なんかとてもお金を稼ぎだすのが必死な店に見えて、
なんのポリシーもない料理で、
まぁ、レストランの心意気じゃない。
川越ファンにとって彼に会えると言う条件でのこの値段設定なら許される。ついでに写真一枚でも撮らせてくれれば割に合うか...な...どうかな....
あ、でも、ごめん、あたしファンじゃない(笑)

よく行く街にあっても、何度も行こうかと、そういう気にさせてくれるお店ではない。

まぁ、面白かったけど、色々、突っ込みどころあり過ぎで。
ただ、食事をイタリアンを目当てで行く場所ではない。

せめて落合シェフのように毎日厨房に立って頂きたい。
彼が自分を批評家ではなくシェフだというのであれば。

http://tatsuya-kawagoe.com/

追記2013/6/15 川越(シェフ)ご本人の怒りをかったというニュース記事により多大なアクセス数頂きまして...
なんか...すいません....笑
友達に「ニュースに載ってるからだよ」と教えられ、その記事にも目を通しました。

自分の名誉の為に言う訳でもないですが、
すいません、あたし年収400は超えてますよ、川越さん。笑

良いお店には、お金を払いたい。チップだって払いますよ。
(若いので嫌みにならない額ですが)
でも、例え年収が十分でも、払いたくない1円がある。
値段じゃない、気持ちです。
それ、わからないかな?笑

三ツ星と名のつくレストランは結構行っていると思います。
チャージを取るお店はある。
800円をチャージ(イタリアンなら大体席代、パン代とメニューに記されている)として取られるのは、
何の問題でもなかった。
ただ、何も言わずに、ドリンク価格も時価で(寿司屋か!?笑)、このお金の取り方をした事がスマートではないし、
やってはいけないことだと。
800円の水代も別に一流店では普通だと知ってます。
ボトルで提供されましたし。(一滴も、一滴も飲んでないけど〜!笑)

ご自身の知名度、十分お分かりかと思います。
あたしもテレビやコンビニでよく拝見してます笑

この追記記事にご本人目を通されるかは知りませんが、
あくまでも、あたしは、
料理、値段、立地、サービス、全てのバランスで、書いてますので。
そのバランスがいい店であれば、安い呑み屋さんでも、あたしは高得点は出しますので。

ただこのお店はバランスが悪かった。それまでです。

ちなみにこのお水に対する自分の意見はその場でホールの店員(多分当時店長ないし上の方)にこの口で全部言いました。
他のお客様にも完全に聞こえていたでしょう。だってテーブルチェックだし〜。笑
最後にお見送りはご丁寧に階段下まで出て来て頂き、
「他に何かご意見ありますでしょうか?」と聞かれました。(いや、店内で聞いてよ...)
ので、言いました。
「あなたに何を言っても、川越さんに伝わる気はしませんので、これ以上言いたい事はないです。」と。
きちんと言わせて頂きました。

いい料理をして頂きたい。
お金儲けも良いけれど、
自分の名前を店に掲げるという事は、皆あなたの料理を期待して行くのだから。

良いお店に行って下さい。
まだ、あなたは学ぶべき事があると思います。
ご自身がまだ、ご自身をシェフというのであれば。
タレントと言うなら、もうあたし何も言いませんから。笑

二年前に書いた投稿ですから、今の味は知りません。
再訪はしないと言いましたが、
再訪するのも面白いのかもと思ってる今日この頃です。笑

*1 削除されたのではなく、不適切な投稿が一斉投稿されているので一時的に表示制限しているとのこと。

誤報か?「実名制はコメント荒らしを解決できない」韓国の事例

TechCrunch記事が話題に

FacebookやGoogle+がユーザ登録に際して実名を求めたことから、実名登録の是非について議論されることがありました。実名登録の目的の一つは悪質コメントの抑制にありました。しかし、その効果に疑問を投げかけるTechCrunch記事が話題となり、「実名制はコメント荒らしを解決できない」は(日本では)定説となりました。

当該記事を引用します。

2007年、韓国は利用者10万人以上のサイトすべてに対して、一時的に実名使用を強制した。しかし、後にこれが罵倒や悪意のあるコメントの一掃に効果がないと分かり、廃止する(このポリシーによって減少した迷惑コメントは0.9%だった)。

(略)

しかしこのポリシーは、韓国通信委員会の調査によって迷惑コメントが0.9%しか減っていないことがわかるとすぐに廃止が決定された。

実名制がコメント荒らしを解決できない、驚くほど確かな証拠 | TechCrunch Japan

but scrapped it after it was found to be ineffective at cleaning up abusive and malicious comments (the policy reduced unwanted comments by an estimated .09%).

(略)

The policy, however, was ditched shortly after a Korean Communications Commission study found that it only decreased malicious comments by 0.9%.

Surprisingly Good Evidence That Real Name Policies Fail To Improve Comments | TechCrunch

たしかに、悪質コメントのうちの0.9%しか減少させられないなら、このポリシーにはあまり意味がないように思われます。

悪質コメントは0.9%しか減らない?

このTechCrunchでは、データの出所として韓国通信委員会の調査を挙げ、朝鮮日報の英語版記事にリンクしています。ところが、この朝鮮日報記事では、TechCrunchとは違った数字が出ています。

当該記事を引用します。

According to a study by the KCC, malicious comments accounted for 13.9 percent of all messages posted on Internet threads in 2007 but decreased only 0.9 percentage points in 2008, a year after the regulation went into force.

[拙訳]韓国通信委員会の調査によれば、悪質コメントは2007年にインターネットに投稿された全てのコメントのうち13.9%を占めていたが、ポリシーが強化されて1年後の2008年には、わずか0.9ポイントしか減少しなかった。

The Chosun Ilbo (English Edition): Daily News from Korea - Real-Name Online Registration to Be Scrapped

お気付きでしょうか?

朝鮮日報では"0.9 percentage points"としているのを、英語版TechCrunchでは"0.9%"とし、この誤りは日本語版でも踏襲されています。しかし、0.9ポイントと、0.9%では大違いです。

朝鮮日報が言っているのは、2007年には全てのコメントのうち13.9%が悪質コメントだったが、2008年には13%になったということです。減少した悪質コメントは0.9%ではなく、6.5%です。

さらに考慮すべきことは、2007年から2008年にかけてインターネット人口が増加しているはずであり、絶対数としても減っていることです。

もちろん、悪質コメントを根絶するというにはほど遠い結果には違いありません。13.9%と13%にどれほどの違いがあるのかという意見もあるでしょう。

しかし、いずれにしても誤報は誤報です。

すぐに廃止が決定された?

さらに指摘するならば、英語版TechCrunchが"ditched shortly after"とし、日本語版が「すぐに廃止が決定された」としているのも、かぎりなく誤報に近いと思います。

ここで韓国の実名制と言っているのは、住民登録番号の登録義務をいい、2007年に実施拡大され、廃止の方針が発表されたのが2011年12月です。その発表を伝えたのが前出の朝鮮日報記事です。さらに2012年8月に違憲判決が出され、これが完全に禁止されるのは2015年の予定です。2009年からは住民登録番号に代わるi-PINという別の識別番号に置きかえられたので、事実上の実名制は今後も続きます。

しかしTechCrunch記事では、2008年に悪質コメントが減らないことが分かったので、すぐに廃止が決定された、またはすぐに廃止された(すでに廃止されている)、といった誤読を招きそうです。

わずか30%の減少は焼け石に水?

TechCrunch記事では、実名ポリシーでは悪質コメントを最大でも30%しか減少させないとするカーネギーメロン大学の研究を引用し、「委員会の推定によると悪質なコメントは全体の13%だけであることから、わずか30%の減少は、汚れたコメントシステムにとっては焼け石に水だろう」としていますが、これも正確な議論ではありません。

委員会(韓国通信委員会を指す)は、実名ポリシーを導入する以前の悪質コメントを13.9%としているのですから、ここで13%と言っているのは誤りです。また、委員会はすでに実名制の導入により0.9ポイントの減少があったとしているのですから、わざわざ他の研究から数字を引いて「たった30%が減少しても…」と言う必要がなく、無意味です。

それに、13.9%のうち30%が減るのであれば、全体に占める悪質コメントは9.7%になるのですから、「焼け石に水」というにはずいぶん大きな成果と見ることもできるでしょう。

カーネギーメロン大学の研究は、1~2件の悪質コメントを投稿するライトユーザを減らすとしていますが、悪質コメントのヘビーユーザは例えていえば「隔離状態」であることが多く、実害のほとんどは身近なライトユーザによって起こされているのではないでしょうか。つまり、2ちゃんねるに書きこまれる大量の悪質コメントよりも、Facebookへの少数の悪質コメントのほうが現実的な脅威である、ということです。


朝鮮日報が伝えている韓国通信委員会の調査については直接確認していませんが、いずれ機会があったら調べてみたいと思います。(この記事のタイトルを「誤報」とせず「誤報か?」としているのは、委員会調査が実際に「0.9%」としている少数の可能性があるからです。)